はじめに:一番大切なこと — 「自分にしか描けない作品」を描く
「売り方」は重要ですが、もっとも大切なのは “自分にしか描けない素晴らしい作品” を作ることです。デザインフェスタのような場では、来場者は大量のブースを回るため、記憶に残る独自性がないと買い手に届きません。
技術や販売テクニックは後からでも補えるけれど、作品の個性は作家の核です。
テクニックや宣伝ももちろん大事。
でも、それ以上に大切なのは
「この人にしか描けない」と思われる世界を作ること。
あなたの描く世界が、誰かの心に刺さる!
それが、買ってもらえる一番の理由になります。
戦略としては、『自分の作風・世界観を磨き、作品コンセプトを言葉で説明できる』ようにすると良いでしょう。短いキャッチコピーを作ると伝えやすくなります。
関連記事:デザインフェスタ出展のリアルな体験談!成功と失敗から学ぶ
関連記事:デザインフェスタ初出展で売れなかった時、次にどう活かす?課題が見えたらやるべき事が分かる。
出店前に決めておきたい “自分らしい戦略”
出展の目的を明確にする
デザフェスに出るとき、まず大事なのは
「今回はどんな目的で出るのか?」を決めておくことです。
たとえば、
- とにかくたくさん売って売上を伸ばしたいのか
- ファンを増やしたいのか(名刺やSNSフォローなど)
- 作品を発表する場として見てもらいたいのか
この3つのどれをメインにするかで、準備や当日の動きが変わります。
初めてデザフェスに出る時は
「とりあえず作品を並べて、たくさんの人に見てもらえたらいいな」
と思う方が多いと思います。
でも、ちょっとだけ立ち止まって考えてみてください。
今回の出展で、いちばん叶えたいことは何ですか?
この“目的”をはっきりさせておくと、
作品づくりや値付け、ブースの飾り方まで全部がブレにくくなります。
紙のイラストはどうしても単価が低く、
出店料を完全に回収するのは少し難しいこともあります。
だからこそ、「売る」ことだけにこだわらず、思い切って
「今回は売上よりも、自分の世界を知ってもらう場にしよう」
と割り切ってみるのもひとつの方法です。
“自分の世界を知ってもらう場”や“ファンとの出会いの場”として出展するのも立派な目的です。
焦らず、自分のペースで戦略を立てていきましょう。
とはいえ、せっかく出すなら売れる工夫もしておきましょう。
次で具体的に説明します。
価格帯と商品構成の作り方
展示のバランスを整えると来場者が買いやすくなります。おすすめは「高・中・低」の3段階構成。
価格帯の例(目安)
高単価(¥10,000〜):手描き原画・額装作品・限定一点物
中単価(¥3,000〜8,000):手作り感のある加工プリント、立体感のあるミニ作品
低単価(¥100〜500):ポストカード、ステッカー、缶バッジ
高単価を数点用意しておくと、イベントでの回収がぐっと楽になります。
低単価は気軽に手に取ってもらいやすく“導線”としても有効です。
紙のイラストは採算が合いにくい?それでも意味がある。
イラストはほとんどが紙ベースになります。
でも、単価が低いため、出店料を考えると赤字になりがち。
なので「売る場所」ではなく「発表の場」として活かすことは大切です。ライブペインティングなどでアピールするのも効果的です。
自分の世界をたくさんの人に見てもらう
SNSやオンライン販売に繋げる
他の作家さんや来場者とのご縁を作る
たとえその場で完売しなくても、ファンが増えていくきっかけになるんです。
合同出展でブース力アップ
コスト面が気になる方は「合同出展」もお勧めです。
テーマが近い作家さんと一緒に出ることで、出店料を分け合えますし、ブース全体が“ひとつのギャラリー”のようにすると印象的になります。何より心強いです。
一人で全部やるのは大変。合同出展は費用分担だけでなく、見栄えと集客力も上がります。

合同出展のメリット
- 出店費用を分けられる
- ブース全体で統一テーマが作れる
- 客層が広がる(仲間のファンも来る)
運営のコツ
事前にディスプレイ方針を決める(色合い・高さなど)
共同でSNSやフライヤーを作ると宣伝効果大
合同だと、来場者に「まとまった世界観」を印象づけられて、写真撮影やシェアを誘発しやすくなります。
ポストカードをしっかり売る方法(単価は低いけど強い)
ポストカードは、いちばん手に取りやすく、あなたの世界観を知ってもらう“入り口”のような存在です。
単価は安くても、作家としての印象を残す力はとても大きいんです。
世界観や物語性を感じさせる工夫を
同じポストカードでも、「ただの絵」ではなく、**物語のワンシーン**として見せることで印象がぐっと深まります。
たとえば——
- 
作品にタイトルや一言のキャプションを添える 
 → 「この子は異世界を旅する小さな勇者」など、物語の断片を感じる言葉を。
- 
シリーズで並べて世界を見せる 
 → 「春の草原」「雨の日」「月夜の森」など、ストーリーが続いている構成に。
- 
作者の思いを一言添える 
 → 「この絵は“自分を信じる勇気”をテーマに描きました」など、作品の裏側を少しだけ。
こうした“イラストに背景”があると、
見る人は「この作家さん、どんな世界を描くんだろう?」と興味を持ちやすくなります。
見せ方のコツも大切に
ポストカードは並べ方でも印象が変わります。 – 段差をつけて立体的に見せる – 色やテーマで分けて世界観を整理する – 視線を引く“看板的な一枚”を中央に置く
まるで小さなギャラリーを作るような気持ち
ポストカードは「取り入れられやすい」商品。集めているコレクターも多いです。だからこそ、見せ方が命。
段差をつけて立てる:平置きだけだと見落とされがち。階段状ディスプレイで目線を誘導。
シリーズ分け:色別・テーマ別に並べて迷わず選べるようにする。
セット売りを用意:単品と3枚セットなど、まとめ買いプランを用意。
OPP袋で保護:触ってもらいやすく、汚れ対策にも

売場での声かけで伝える
「こちらのシリーズは特別なインクで刷っています」
「3枚セットだとちょっとお得です」
「SNSで作品を更新しているので、よければフォローしてくださると嬉しいです!」
長く話しすぎず、でも“あなたの世界”を一言で伝えるのがコツです。
そして、買っていただけた方に、SNSフォローやショップへの誘導カードを忘れずに。
小さな繋がりが次の販売に繋がります。
ファンの心をつかむ一枚に
「この人の描く世界が好き」と思ってもらえたら、 その一枚が次の作品購入やSNSフォローにつながります。
ポストカードは「安い商品」ではなく”あなたの作品世界へ引き込む大切な入り口”
小さくても、その中にこめられた想いがしっかり届くように、丁寧に見せていきましょう
プリント作品に「ひと工夫」して価値を上げるアイデア
印刷物はコストを抑えられる一方で“個性”が出にくいことも。そこで、ちょっとした手仕事を加えてみてください。
加工作例(実践しやすい順)
1. ハンドフィニッシュ:プリントの上から金箔、ホワイトハイライト、少しの水彩やペンで描き込みをする。(1枚ずつ違いが出る)大量生産では出せない“一点感”が出るため単価を上げやすい。
2. 紙・インクにこだわる:質感の良い紙や厚紙(エンボス紙)半透明な紙やカラー用紙、紙ではない素材を使うのも◎
発色が良く耐光性のある顔料インクを使うことでも、高級感が増し、買い手に「長く飾れる」価値を提供できます。
3.部分的な切り絵/レイヤー:パーツを重ねて立体感を演出。少し立体感のある作品は、遠くからでも目を引きます。小さな影が生まれるだけで「写真より魅力的」に見えることも。
一部を切り絵レイヤーにする。 コラージュする。 立体感のある額に入れて豪華に見せる等。

4. 素材ミックス:布パッチ、刺繍ステッチ、ドライフラワー、シールなどでデコレーションする。目を引く“ちょい立体”作品は即売性が高いです。

私自身も「印刷なのに手描きが加えられている作品」を買ったことがあります。写真では伝わらない“作家の手”が感じられて、値段以上の満足感があり「一点もの」としての価値を感じます。
ハンドメイドイベントの売上アップにはキャッスレス決済の導入がお勧めです。

参考記事:現金のみより売上が上がる!キャッシュレス決済をお勧めする理由
ブース装飾と導線のちょっとした工夫
来場者は短時間で多数のブースを回るので、目を引く“初動”が大事です。
実践チェックリスト
- 高さを出す(段差や棚で“見える化”)
- キャッチコピーを大きく表示(30文字以内で世界観が伝わる言葉)
- 照明で作品を引き立てる(小型ライトを用意)
- 動線を空ける(人が止まりやすいスペース) –
- 価格を書いた札は見やすく(値段が不明だと買いにくい)
ブースについての参考時期:ハンドメイドイベントで売る!お客様を惹きつけるブースづくりのコツとは?
高額作品を販売することで利益を得る
手描き原画(限定・署名入り)
手描きの原画は、世界にひとつだけの作品
額装したり、作家の署名や証明書を添えると、ぐっとプレミアム感がアップします。 – 原画は高額ですが、その分1点売れるだけで目標金額を大きく超えることも。
「この作品を手に入れたい」と思ってもらえる唯一性がポイントです。
限定コラボ・シリーズ
他の作家さんとコラボしたり、限定部数にシリアルナンバーをつけると、特別感が増します。
限定性やコラボ感は「ここでしか手に入らない」という価値を作るので、高額でも手に取りやすくなります。
カスタム作品サービス
イベント中にその場で作る「ちょっと似顔絵」や、後日納品するオーダー作品も人気です。 – 納期や内容をしっかり明記しておくと安心。
その場のワクワク感や臨場感が成約率を上げる大きなポイントになります。
コミケなどのイベントではスケッチブック「スケブ」を描いてくださる作家さんも多いですね。

イラストを元にグッツを作る
イラストはそのまま飾るだけでなく、形を変えると新しい魅力が生まれます。
特にイベントでは「手に取りやすい」「使いやすい」「SNS映えする」アイテムが人気です。
ここでは、具体的なジャンルごとにアイデアを掘り下げてみます。
服・身につけるもの
Tシャツ・パーカー:若い世代には個性的なイラスト入りTシャツが人気。
サイズ展開や在庫管理が必要ですが、着た姿をSNSで拡散してもらえると注目度がぐんと上がります。イベント前に、インフルエンサーさんに着てもらって拡散をお願いするということも視野に入れてみてください。
イメージに合う方を募集したり、声をかけてみると、有償または作品を差し上げる等で、了承いただけることも多いです。
アイデア:1枚ずつナンバリングや限定デザインを付けると、特別感を演出できます。
トートバッグ:軽くて使いやすく、イベントで手に取りやすいアイテム。 イラストを前面に大きくプリントすると、歩いているだけで宣伝効果もあります。

小物・生活雑貨
ステッカー・缶バッジ:低コストで制作でき、回転が速いので初心者にもおすすめ。 複数デザインをまとめてセット販売すると、ファンが集めやすくなります。
マグカップ・ポーチ・ブックカバ―:実用性があるため、プレゼント需要も高いです。 イラストの雰囲気に合わせてパッケージやタグに工夫をすると、より価値を感じてもらえます。
インテリア系アイテム
ミニ額縁・ポスター(A3/B2など):お部屋に飾りやすく、高額でも手に取りやすい。
掛け布・クッションカバー(数量限定):使うたびに作家の世界観を感じられるアイテム。 限定品にすると「ここでしか手に入らない」という特別感が生まれます。
グッツのまとめ
- 
小物は「低コストで回転が速い」→ファンづくりに最適 
- 
服・インテリアは「見た目のインパクトと実用性」→高額でも購入されやすい 
- 
SNSを意識した演出で、さらに注目度・拡散力を高められる 
ポストカードや原画だけでなく、グッズ化も積極的に考えると、売上アップとファン獲得の両方につながります🌿
拡散を狙う戦略
個性的で「自分だけのスタイルを表現できる」アイテムが若い世代には刺さります。 SNS映えするパッケージやタグ付けを工夫すると、自然に拡散されやすくなります。
来場者が「写真を撮りたくなる」展示やディスプレイにするだけでも、購入意欲はアップします。 ポップや簡単なストーリーカードを添えると、商品に物語性が生まれ、より手に取りやすくなります。

イベント後のフォローで売上を伸ばそう
イベントは“始まり”です。会場でつながった人たちに向けてアフターフォローを忘れずに。
やるべきこと
名刺やQRでSNS・ネットショップへ誘導する。名刺は余分に用意しましょう。どこにきっかけがあるかわかりません。覚えていただけるようなわかりやすい名刺にしましょう。
当日撮ったブース写真をSNSに上げて感謝を伝える
在庫が残った場合は「イベント限定通販」を期間限定で実施
これで「イベントで気になった」を「購入」に繋げやすくなります。

まとめ:楽しみながら、自分の世界を大切にしていこう
- 最も大切なのは、あなたの“唯一の世界”を育てること。技術や販売はその補助。
- ポストカードやプリントは売れる導線を作るための強い味方。見せ方と一手間で価値が変わる。
- 合同出展やグッズ化、ハンドフィニッシュなど、できる範囲で工夫してみてください。
焦らなくて大丈夫。1回で劇的に変わらなくても、積み重ねが必ず力になります。
ハンドメイドイベントの売上アップにはキャッスレス決済の導入がお勧め
是非とも検討ください。前回導入したところ高額の作品の購入につながりました。
ハンドメイドイベントではまだ現金が主流です。以前は、キャッシュレスが出来ないことで「今日は現金の手持ちがなくなったー」と購入に至らなかったケースもありました。
作品の在庫管理にも役立ち便利に使うことが出来ましたのでお勧めです。ネット販売などにも利用でますので販売の幅が広がります。
参考記事:現金のみより売上が上がる!キャッシュレス決済をお勧めする理由

 
  
  
  
  
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