こんにちは!今日は「チャレンジ」と「心の仕組み」についてお話したいと思います。
何かに挑戦しようとしたとき、やりたい気持ちがあるのに、不安や怖さで動けなくなることってありませんか?
「失敗したらどうしよう…」
「うまくいかなかったら、人にどう思われるか心配…」
そんな気持ちは、とても自然なものです。でも、心理学的に見ると、私たちの“不安”や“怖さ”にはちゃんと理由があるんです。そして、その仕組みを知っていれば、自分の背中をそっと押すこともできるようになります。
なぜ私たちはチャレンジが怖いのか?
〜脳は“変化”を苦手とする〜
人間の脳は、基本的に「いつも通りの状態=コンフォートゾーン」に留まることを好みます。これは、脳が私たちを“危険”から守ろうとする本能的な働きなんです。
つまり、新しいことにチャレンジしようとすると、脳が「それは未知だよ!危険かもよ!」とブレーキをかけてくる。そのブレーキが「怖い」「不安」という感情になって現れます。
でも、ここで大切なのは、
「怖い」と感じている=やってはいけない、というわけではないということ。むしろ「変わる時が来たよ」というサインでもあるんです。
自分の背中を押すための心理学的アプローチ
では、どうすれば怖さに負けずに一歩踏み出せるのでしょう?
心理学の視点から、自分を支える3つの考え方をご紹介します。
① 「自己効力感」を高める

◆ 自己効力感とは?
自己効力感とは、「自分にはそれができる」という感覚や信念のことです。
これは心理学者アルバート・バンデューラ(Albert Bandura)が提唱した概念で、特に「行動の動機づけ」や「継続力」に大きく関わってくると言われています。
たとえば:
- 「失敗しそうだけど、なんとかやってみよう」=自己効力感が高い人
- 「どうせ無理だからやめておこう…」=自己効力感が低い人
というように、実力の有無ではなく、「自分がやれる」と思えるかどうかで、行動や選択が変わってくるんです。
◆ 自己効力感が高い人の特徴
自己効力感が高い人は、たとえ失敗しても「次はうまくいくかも」と考えたり、困難な状況でも「どうすれば乗り越えられるか?」を考える傾向があります。
具体的には:
- 新しいことに前向きにチャレンジする
- 困難に対して柔軟な対応ができる
- 続ける力(粘り強さ)がある
- 他人と比べすぎず、自分の軸を持ちやすい
◆ 自己効力感が低い人はどうなる?
逆に自己効力感が低いと、「やる前からあきらめてしまう」「失敗への恐れが強く、行動に移せない」といった傾向が出てきます。
たとえば:
- 自分に自信が持てない
- すぐに「どうせ無理」と思ってしまう
- 少しのつまずきで「やっぱり私には向いてない」と感じてしまう
でもこれは「性格」ではなく、思考の癖や経験によって変えていくことができるんです。

◆ 自己効力感を高める4つの方法(バンデューラによる)
たとえば:
心理学的には、以下の4つの経験・要素が、自己効力感を育てるカギとされています:
① 達成体験(成功体験)
最も効果があるとされるのが「自分で実際にやってみて、うまくいった経験」。
- 小さな作品を完成させた
- ブログの記事を1本書けた
- 販売サイトに登録できた
どんなに小さな成功でもOK。
「やってみたら、意外とできた」という積み重ねが、自信を育てます。
② 代理体験(他人の成功を見る)
他の人がうまくやっているのを見て、「あの人にできたなら、私にもできるかも」と思えること。
これは、特に自分に似た立場の人(たとえば、同じ主婦・作家・クリエイター)がチャレンジしているのを見ると効果的です。
YouTubeやブログ、SNSなどでの他者の行動も、自己効力感を刺激する材料になります。
③ 言語的説得(声かけ・励まし)
他人や自分からのポジティブな言葉も、自己効力感を高めるのに役立ちます。
たとえば:
- 「大丈夫、あなたならできるよ」
- 「失敗してもいいよ、まずはやってみよう」
- 「前も乗り越えたじゃない!」
特に自分で自分にかける言葉(セルフトーク)がとても大切です。
④ 生理的・感情的状態のコントロール
不安や緊張、体調不良は、自己効力感を下げてしまいます。
逆に:
- よく眠る
- 呼吸を整える
- 体を軽く動かす
- 落ち着く音楽を聴く
などで「心と体を整える」と、不安が和らぎ、「やってみようかな」という気持ちが自然と戻ってきます。

◆ 自己効力感を育てる「自己理解」と「セルフコンパッション」
自己効力感は、「自分に厳しい人」ほど下がりやすい傾向があります。
「ちゃんとやらなきゃ」「完璧じゃないと意味がない」
こうした思考のクセがあると、ハードルを自分で上げてしまい、「できない自分」を責めがちになります。
だからこそ、「自分に優しくすること(セルフ・コンパッション)」がとても重要です。
- 失敗しても、自分を否定しない
- 落ち込んでも、責めずに寄り添う
- 小さな一歩に、自分で自分を褒めてあげる
これが、チャレンジを続けていくうえでの土台になります。
② 認知のゆがみに気づく
私たちの心は、無意識のうちに“現実をねじまげて受け止めてしまう”ことがあります。
このような偏った思考のクセを、心理学では「認知のゆがみ(Cognitive Distortion)」と呼びます。
「ゆがみ」といっても、異常なことではありません。
人は不安になったり、自信がなくなったりすると、つい極端な解釈をしてしまいがちなんです。
これは、自己防衛の一種でもあり、誰にでも起こりうる“思考のクセ”なのです。

■ よくある認知のゆがみの例
以下のような思考が、無意識にあなたの背中を引っ張っているかもしれません。
◆ 全か無か思考(白黒思考)
「一度でも失敗したら、全部ダメ」
「成功しなきゃ意味がない」
→ 物事を「完璧か、最悪か」でとらえてしまう考え方です。
少しでもうまくいかないと「全部失敗」と感じてしまうため、自信を失いやすくなります。
✅ 「少しうまくいかなかっただけかもしれない」「部分的には成功してる部分もあったかも」とグラデーションで見る目を育てましょう。
◆ 過度な一般化
「前に一度失敗したから、どうせまたうまくいかない」
→ 一度の出来事を「いつもそう」と拡大してとらえてしまうクセです。
過去の経験が未来の可能性を奪ってしまいます。
✅ 「今回は前と違うかもしれない」「学びがあったから次はやり方を変えられる」など、新しい視点を取り入れてみて。
◆ マイナス化思考(肯定的なことの否定)
「褒められても、たまたま運がよかっただけ」
「誰にでも言ってるだけでしょ」
→ 良いことがあっても、素直に受け取れず打ち消してしまうパターン。
自分の価値や努力を否定するクセがあると、自己効力感が育ちにくくなります。
✅ 「今の私が頑張った結果かもしれない」「ありがとう、って受け取ってみよう」から始めましょう。
◆ 心の読みすぎ・先読み
「きっとあの人は私のことをバカにしている」
「こんなこと言ったら嫌われるに決まってる」
→ まだ起きていないことや、相手の気持ちを勝手に決めつけてしまうクセです。
不安が強いときによく現れます。
✅ 「本当に相手がそう思っている証拠はあるかな?」「確認していないことは、今は考えすぎかも」と立ち止まってみて。
◆ すべき思考(〜すべき、〜ねばならない)
「ちゃんと完璧にやらないと意味がない」
「やるなら人より上手にやらなきゃ」
→ 自分に厳しすぎるルールを課す思考のクセです。
「〇〇すべき」「〇〇でなければならない」という思いが強いと、チャレンジの前に疲れてしまいます。
✅ 「〇〇できたらいいな」「まずはやってみよう」で十分です。
■ 「それって本当?」と問いかけてみる
こうした「認知のゆがみ」に気づけたら、
次にしてほしいのが 「思考の問い直し」 です。
自分にやさしく問いかけてみましょう:
- 「本当にそうかな?」
- 「他に考えられる可能性はある?」
- 「もし友達が同じことを言ったら、私はどう声をかける?」
この“問いかけ”を通じて、思い込みのフレームが少しずつゆるみ、
現実をもっと柔らかく・優しく見ることができるようになります。

■ ゆがみに気づくことが、自由になる第一歩
思考のクセは、知らず知らずのうちに心を縛ります。
でも、「これは事実じゃなくて、私のクセかもしれない」と気づけた時点で、もう一歩自由になっています。
そして、思考はクセだからこそ、練習すれば変えていくことができます。
まずは気づくこと。
そして、ゆっくりと、やさしく“新しい考え方”を試してみること。
チャレンジする力は、こうした心の中の小さな自由から、少しずつ育っていくのです。
③ コンフォートゾーンの外に「安全地帯」をつくる
チャレンジとは、「今の自分の枠(=コンフォートゾーン)」から、一歩外へ出ること。
でも、大きな変化や飛躍をいきなり求める必要はありません。
心理学では、「人が成長するプロセス」を3つのゾーンで説明することがあります:

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■ 3つのゾーンとは?
1. コンフォートゾーン(Comfort Zone)
…安心・慣れている領域。リスクは少ないけれど、成長もしにくい場所。
2. ラーニングゾーン(Learning Zone)
…少し不安もあるけれど、努力すれば乗り越えられる範囲。
ここで「学び」や「成長」が起きます。
3. パニックゾーン(Panic Zone)
…不安や恐怖が強すぎて、思考も行動もフリーズしてしまう領域。
無理にここに飛び込むと、自信を失ったり、やる気をなくすことも。
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この中で、私たちがチャレンジするときに目指すべき場所は、真ん中の「ラーニングゾーン」。
ちょっと緊張するけど、手が届きそう。
少し怖いけれど、「やってみたい」と思えるような場所です。
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■ 具体的な例:小さなチャレンジはラーニングゾーンの入り口
たとえば、あなたがハンドメイド作品を販売したいと考えているとします。
• 「SNSに自分の作品を出すのは怖い…」 → コンフォートゾーンの中
• 「でも、1枚だけ写真をアップしてみようかな」 → ラーニングゾーン
• 「いきなりインフルエンサーみたいに発信して売らなきゃ!」 → パニックゾーン
このように、少しドキドキするけれど、試せそうな行動がラーニングゾーン。
そこには、「失敗するかもしれない」「恥ずかしいかも」という気持ちもあるかもしれません。
でも同時に、「やってみたら何かが変わるかも」という希望もある場所なのです。
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■ コンフォートゾーンの外にも「安全地帯」を作るということ
ラーニングゾーンで「やってみたらできた」「思っていたより怖くなかった」という経験を積むと、
その場所が少しずつ自分にとっての“新しい安全地帯”になります。
これは、コンフォートゾーンを広げるということでもあります。
たとえば:
• 最初は1対1で話すのも緊張していたけれど、何度か経験を重ねて自然に話せるようになった
• 最初はネット販売が不安だったけれど、1回やってみたら「案外大丈夫だった」と思えた
• 初めてイベントに出るのが怖かったけど、小さなマルシェに出てみたら楽しかった
こうした「新しい経験」が“居心地のいい場所”に変わっていくと、
あなたの世界も、行動の自由度もどんどん広がっていきます。

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■ コンフォートゾーンの外でこそ、自信が育つ
実は、「自信」とは成功の結果ではなく、“できた経験の積み重ね”から育つものです。
そしてその経験は、いつもラーニングゾーンの中にあります。
だからこそ、チャレンジはいつも「ちょっとだけ外へ」。
ムリをせず、でも現状の外側へ一歩を踏み出すことが、あなたの自信と行動力を確実に育ててくれます。
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■ 一歩外に出たその場所が、やがて“あなたの居場所”になる
チャレンジは、怖くて当然です。
でも、「怖いけど、やってみたい」という気持ちがあるなら、
それは今、あなたがラーニングゾーンに立っている証拠。
ほんの少しだけ、コンフォートゾーンの外へ足を踏み出してみてください。
そしてその場所に慣れてきたら、そこはもう“新しい安全地帯”。
それを繰り返していけば、
あなたの世界は、無理なく、でも確実に広がっていきます。
一番の味方は自分自身

チャレンジとは、何かを達成することよりも、
「怖くても、やってみよう」と自分を信じて動き出す、その姿勢にこそ意味があります。知恵は、不安や恐れを軽くしてくれる心の道しるべではありますが、
何より大切なのは――
あなた自身が、あなたの一番の味方でいてあげること。
今日のその小さな一歩が、未来のあなたの大きな自信と笑顔につながっていきますように。

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